補聴器メーカーはどのようなところがありますか?
どこで買うことができますか?

補聴器というものの存在をご存じの方は多いと思いますが、どのようなメーカーがあってどうやって買えばよいのかご存じの方は少ないと思います。ここではそれを分かりやすく説明します。

考えてみれば補聴器についてよく知らない

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最近耳の聞こえが悪くなった、家族もあなたと話す時は大声で話しているとか、テレビの音がうるさいとかいうようになってきた。補聴器とか検討したほうがいいのかもしれない、そういう方もいらっしゃると思います。
でも、「補聴器」という言葉やモノは知っていても、それ以上のこと、例えばどんなメーカーがあるのかとか、どこでどうやって買うのかとか、いくらぐらいするのかとか、そういうことに詳しい方もあまりいらっしゃらないのではないかと思います。

ネットで調べてみても馴染みのない会社名ばかりで、メーカーと販売店がごっちゃになっているみたいだし眼鏡屋まで検索結果に出てくるし「補聴器を買う」というなんでもないことが意外と難しい・・・ですので、ここではまず国内外の補聴器メーカーから説明します。

海外の補聴器メーカー

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海外には6大補聴器メーカーというものがあります。実はこの6社で世界シェアの90%を占めています。ですので、この6社について知れば概ね補聴器の傾向を知ることができます。

フォナック(PHONAK)

世界シェア1位でシェア率は26%になります。親会社はソノヴァグループでスイスの会社です。1947年に誕生し、現在世界100カ国以上の国で使用されています。ユニトロンは親会社が共通する兄弟会社になります。
世界のリーディングカンパニーである開発力とスケールメリットを活かした製品づくりが特徴で、遠方の音を拾う補聴援助システム「ロジャー」が有名です。

オーティコン(Oticon)

オーティコンはデンマークの会社で1904年に誕生しました。現在120カ国以上で使用されています。創業者の妻が難聴者であり、そのケアと愛情より生まれた「ピープル・ファースト」の精神が理念となっています。
製品としてのコンセプトは脳に余計な負担がかからないように聞く労力を軽減する「ブレインヒアリング」です。opnシリーズでは音を高速で処理して雑音を判別し、疲れやすさを20%軽減したということです。

シーメンス/シバントス(SIEMENS/Signia)

シーメンスはドイツ最大の企業グループの一つで1878年に誕生しました。現在は親会社がシンガポールに本社を置くシバントスとなっています。また2016年にはシーメンスの歴史を継承する新ブランドSigniaが生まれました。シバントスグループには他にもレクストンなどがあります。
シーメンスの補聴器の特長は騒音下での聞き取りです。

GNリサウンド(GN ReSound)

GN ReSoundは1943年生まれのデンマーク企業です。GN ReSoundはヘッドセットなどを製造している音響関連の会社で、同社の補聴器は自然な音質を追求しています。通常、難聴は高音域の音から聞こえにくくなるため、一般的な補聴器は音域を下げることで高音域の音を聞いています。しかし音域を下げるため本来の音ではなくなってしまいます。GN ReSoudのクアトロは音域を変えずに音の出力レベルを高めて高音域の音を再現していますので、使用者は音楽などの豊かな音を楽しめます。

スターキー(Starkey)

スターキーは1967年生まれのアメリカ企業です。レーガン大統領がここの補聴器を使っていたことで評判を得ました。
スターキーはオーダーメイド補聴器の先駆者で耳の奥にすっぽり入る超小型補聴器IIC(Invisible-In-the-Canal)の先駆者でもあります。

ワイデックス(WIDEX)

ワイデックスは1956年にデンマークで誕生しました。
「いい補聴器をつくるためには、一切の妥協はしない」を理念に掲げ、そのこだわりから世界初の耳あな型フルデジタル補聴器を生みだしました。これはアメリカのスミソニアン博物館で「人類の幸福に貢献する製品」として展示されました。
その後もAIを搭載するなど革命的な製品を出し続けています。

日本の補聴器メーカー

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補聴器は以前は海外6大メーカーのものが性能もデザインも先進的でしたが、今は国内メーカーも引けを取らないものになっています。

リオン株式会社(リオネット補聴器)

リオネットは1948年に日本で初めて量産型補聴器を開発した、日本国内最大手の国産補聴器メーカーです。前身の小林理学研究所が潜水艦関係の機器を開発し、1948年に小林理研製作所として補聴器を開発、1960年に現在の社名に変えました。主力製品はリオネット補聴器ですが、その他にも聴力検査器や騒音計など耳鼻咽喉科領域を中心に各種医療機器や環境機器を開発しています。2000年に東証二部に上場、2011年に東証一部銘柄に指定されました。
リオネット補聴器の技術的な特長としては、防水タイプの補聴器を世界で初めて開発したことがあげれます。これは湿度の高い日本に対応したもので、日本メーカーならではの開発と言えます。また、電池の入れ替えが楽なおまかせ回路などの細かい配慮があり、もう一つの特長である販売・アフターケアを行う「リオネット補聴器専門店」が全国あり、そこからのサービス提供とともにフィードバックを受けているということがあげられます

パナソニック補聴器株式会社

名前の通りパナソニックの子会社である松下通信機器工業から発展した会社で、50年以上の歴史があります。
日本の家電メーカーならではのデザインと使いやすさが特長です。

補聴器の買い方

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補聴器を販売しているのは、補聴器メーカーの直営店と、複数のメーカーの補聴器を取り扱っている補聴器専門店、そして眼鏡屋です。

直営店は、メーカー直営なだけあって、商品についての知識が深く在庫も豊富でアフターサービスを受けやすいという特長があります。耳の状態というのは補聴器購入後も刻々と変わっていくものですので、購入後の調整などのアフターサービスは大切なものになります。しかしその反面、補聴器はメーカーや製品によって特徴のある部分が違っているので、それが自分自身にあったものであるかどうかは、実際にそれを自分の耳で聞いて確かめて見るしかないのですが、直営店は当然自社の製品しか扱っていませんので、他社製品と実際に装着して比較するということがやりにくいことが難点となります。

また、海外メーカーの直営店の場合は東京や大阪など大都市の中心部にしか展開していませんので、地方に住む人には訪れにくいということも難点となります。ただし日本メーカーの場合はきめ細かい直営店ネットワークを構築していることが多いです。

専門店は複数のメーカーの補聴器を扱っています。専門店の特長はまさに専門性にあるといえるでしょう。また地域密着型の小型店が多いことは、頻繁な補聴器の調整にとって便利なことで、外出困難な方のための出張調整サービスを行っているところもあります。

メガネ販売店は日本独特の販売チャネルです。耳が聞こえにくくなることは加齢によって生じることが多いので、老眼鏡を買いにきた客との意思疎通のためとか、セット販売をするために、などと言われていますが、経緯の詳細は不明です。

また、補聴器は医薬品医療機器等法で定められた管理医療機器に該当するため、都道府県に対して管理医療機器取り扱いの届け出をしている販売店のみで購入できます。ネット通販でも補聴器を売っている場合がありますが、管理医療機器販売業・貸与業の届け出がなされているかはご注意ください。また、家電量販店やネット販売などで目にする「集音器」は補聴器とは異なりますのでご注意ください。